♪校長室カンタービレ♪ 第49号
平成31年3月4日
私は、昭和37年(1962年)3月8日生まれです。間もなく57歳の誕生日を迎えます。この年齢になると、自分自身の人生を振り返る機会が増えてきました。なぜ自分は音楽を学んできたのか、なぜ教員になったのか、なぜ管理職になったのか、改めて考えると自分の志の低さを痛感してしまいます。
まずは私がピアノを始めたきっかけです。自分ではまったく覚えていませんので、母親から聞いたことを書きます。幼稚園から家に帰った私は、園で習った歌をよく歌っていたそうです。それを見ていた母が、おもちゃのピアノを買ってくれて、そのピアノで無邪気に遊んでいたそうです。母が私の好きなことに気付いてくれなければ、今の私は存在していなかったのかもしれません。その後、ヤマハの音楽教室に通い、ピアノの個人レッスンに通い、あとはお世話になったピアノの先生方によって敷かれたレールを、ひたすら走り続けてきました。今考えると、どこまで自分の意志が働いていたかは疑問です。
大学4回生の時、数年間募集のなかった高校音楽教員の採用試験があることがわかり、周りからの勧めにより受験し、今に至っています。この時も、教師になりたいという強い意志が自分にあったとは言えません。
数年前、当時の勤務校校長から管理職試験を受けることを勧められました。自分としてはまったく考えてこなかったことですので、最初は断りました。もちろん自分の能力の限界は理解していましたし、生徒との関わりが減るのが嫌だったからです。最終的には受験を決意し、現在に至っています。この時も、自分に強い思いがあったかと言うと、そうは言い切れません。
私は生徒たちに、自分の思いを強く持って具体的行動に移すことが大切だと言っています。しかし、自分自身を振り返ってみると、そんな偉そうなことを言う資格はありません。ただ、様々な人との出会いによって、自分の進む道が開け、現在の自分が存在していることは事実です。自分の歩んできた道が本当に自分でやりたいことだったのか、本当に自分で歩むべき道だったのか、他の道はなかったのか等、年齢を重なるにつれて様々な思いを巡らせるようになってきましたが、今となっては、自分の道を精一杯歩んでいくことでその答えを出すしかないと思っています。ただ、私の定年退職予定の2021年度末から、定年が延長になるという噂があります。そんな話を聞くと、今後の生き方について、ますます考えるようになりました。日本人の男性の平均寿命は81歳を超えました。年金受給は65歳からです。親の介護もあります。現実を見つめながらも、第2の人生をどのようなものにするか、どのタイミングでスタートさせるか、真剣に悩んでいます。前述のとおり、自分の強い意志で人生を歩んでこなかった私です。今でも趣味はないし、これからやりたいと思うこともなかなか見つかりませんが、今度こそ、自分の意志で自分の今後の人生を選択したいと思っています。生徒にも「自分の道は自分で決めなさい」と言っている私なのですから。