♪校長室カンタービレ♪ 第44号
平成30年12月17日
音楽文化の発展に大きく寄与したものとして、前号では「楽譜」の存在を挙げました。今号は、音楽産業の発展に多大なる貢献をした「録音・再生技術」の進歩について書きます。
思い浮かべる録音機械は、年齢によって異なると思います。私にとってはカセットテープです。車の中で聴いていた頃が懐かしく感じられます。よくテープが絡んでしまい、それを直すために鉛筆を穴にさして手でゆっくりと巻き直していたことも思い出します。私が昔集めていたカセットテープはどこに行ってしまったのでしょう。見つけたとしても、テープ自体が伸びきっていて役に立たないと思います。こんな話をしても、高校生には伝わらないでしょうが…。
さて、録音と再生の理論的な仕組みは、私には難しくてよくわかりませんが、この録音技術の進歩とそれを伝達するラジオやテレビのメディアさらにはインターネットが普及したことにより、世界中の音楽が身近なものとなり、そこから新しい音楽ジャンルが生み出されたことは紛れもない事実です。
では、録音・再生技術の歴史について調べてみましたので、簡単に紹介します。
発明王エジソンが、1877年に「フォノグラフ」と呼ばれる蓄音機を発明しました。円筒状の金属に錫箔を巻き付けるもので、数十秒程度の録音・再生が可能だったようです。ちなみに、最初に録音した曲は、エジソン自身の声による「メリーさんの羊」だと言われています。
蓄音機をさらに進化させ量産できるようにしたのが、1887年にベルリーナが発明した円盤式蓄音機「グラモフォン」です。いわゆるレコードの原型と言えます。さらに1948年にはLP(Long Play)レコードが実用化され、片面で約20分の録音が可能になりました。
1929年にドイツで開発された磁気テープを実用化したものが、「オープンリール」と呼ばれるものです。これをコンパクト化した「カセットテープ」が、私が生まれた1962年に発売されました。そして1979年、ソニーが世界的に大ヒットさせたポータブルカセットプレイヤー「ウォークマン」を発売します。この「ウォークマン」の登場によって、場所を選ばずに自分一人で音楽を楽しむことができるようになりました。猿がヘッドフォンを耳に当てていたCMを思い出します。
1982年、CD(Compact Disc)が発売され、一気にデジタル化が進んでいきます。1987年にはDAT(Degital Audio Tape)が、1992年にはMD(Mini Disc)が登場しましたが、どちらもあまり普及せず、CDが主流の時代が続きました。
現在、Mp3を代表とする圧縮フォーマット技術の進歩とインターネットの普及により、音楽の楽しみ方がさらに広がっています。
録音・再生技術が発明されるまでの音楽伝承方法は、クラシック音楽のように楽譜で記録、あるいは民族音楽のように人から人への口承によるものでした。しかし、技術の進歩により、生で聴くしかなかった音楽を気軽に家庭や外で聴けるようになり、音楽の楽しみ方に大きな変化をもたらしたと同時に、音楽の可能性と選択肢に大きな広がりをもたらしたのです。