♪校長室カンタービレ♪ 第12号
平成29年8月29日
夏休みも終わり、本校では9月1日に開催予定の体育祭に向け、準備の真最中です。生徒主体の活動となり、若いエネルギーを感じる行事になることを願っています。また、多くの方にご来校いただき、邇摩高パワーを肌で感じていただければ幸いです。
さて、私は今年度より島根県吹奏楽連盟理事長という役職を拝命しています。その関係で、この夏は3つの大きな大会の運営に携わりました。全日本吹奏楽コンクール島根県大会大田大会(7月28日~30日)と益田大会(8月5日~6日)、そして松江で開催された全日本吹奏楽コンクール中国大会(8月25日~27日)です。
吹奏楽コンクールは、小学校・中学校・高等学校・大学・職場一般の各部門があり、吹奏楽を愛好する者にとっては最大の行事で、最大の目標となっています。1年間の思い・努力・成果を、本番での短い演奏時間(小編成は7分以内、大編成は12分以内)で発表しなくてはなりません。ある意味、この本番のみで1年間の評価が決まってしまうという非常に残酷な大会とも言えます。だからこそ、そこにドラマや感動が生まれ、さらには熱心な吹奏楽ファンを巻き込んだ熱い大会となるのです。
私は大会期間中、審査員対応としてほぼ全ての演奏を審査員席近くで聴かせていただきました。圧倒的なサウンドを持っている団体、一人ひとりの技術不足をカバーする指揮者の音楽性を感じる団体、指揮者と演奏者の温かい関係を感じた団体、そして学生とは思えない完璧な演奏を行った団体など、様々な演奏がありました。私は演奏を聴いている間、自分が本番で指揮をしていた当時の演奏や、本番までともに頑張ってきた教え子たちの顔や表情などを思い起こしていました。もう一度指揮を振ってみたい、もう一度生徒とともに音楽を作り上げたい、部活動を通して子どもたちと一緒に成長していきたいという熱い思いが湧いたと同時に、あの頃にはもう戻れない、戻ったとしても自分の力では完璧な演奏なんて無理という諦めの思いも湧きました。どちらにしても、若干の寂しさを感じてしまったのが正直なところです。
人は、「ある瞬間」の自分の輝きを常に夢見て生きているのかもしれません。「ある瞬間」をより良いものにするために、より満足できるものとするために、日々努力を重ねるのかもしれません。そして、その「ある瞬間」がたとえ満足のいくものでなかったとしても、そこに至るプロセスにおいて、人間は成長していくのではないかと思っています。そこに部活動の意義があるのではないでしょうか。
吹奏楽に限らず、部活動が生徒たちにとって最も思い出深く、最も成長したと実感できる活動となることを願います。そして、長い人生の中で、いつ訪れるかわからない、でも何度か訪れることになる「ある瞬間」を輝かせるためにも、今生きているこの時、「この瞬間」を、大切にしてもらいたいのです。