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校長室だより ♪校長室カンタービレ♪ 第11号が発行されました

♪校長室カンタービレ♪ 第11号

平成29年8月1日

 前号の続きです。

アンサンブルにおいて「合わせる」という作業は、当然行わなければなりません。たとえ一人一人の演奏技術が優れていたとしても、「合わせる」という作業を怠ったアンサンブルは、聴いている人に何の感動も与えませんし、何と言っても奏者本人が楽しくありません。同じ時間・空間を共有しているだけで、本当の意味でのアンサンブルとは言えないのです。では何を手掛かりに合わせればよいのでしょうか。

前号で書いた良いアンサンブルあるいは良いアンサンブル演奏とするためには、言葉によるコミュニケーションと言葉によらないコミュニケーションが必要となってきます。

練習中は、音楽表現や演奏の仕方について、言葉によるコミュニケーションを行います。ただ、この過程で人間関係が壊れてしまうことがあります。

演奏中は言葉によるやり取りはできません。そこで使われるのが言葉によらないコミュニケーションです。

例えば、呼吸を合わせる。息を吸うときに発する「スーッ」という音や体の動きは、特に音の出だしを合わせるときに重要となります。息を吸うタイミングが揃っていないとバラバラな出だしになってしまいます。

次にお互いを見ること。アイコンタクトというものです。出だしやフェルマータの後、テンポが変化するときなどは、このアイコンタクトが特に重要です。

体や楽器の動きに注意すること。あまり極端な動きをするのは個人的には好きではありませんが、音楽表現をお互いに共有する点では重要となります。聴いている人へのアピールにもつながります。

表情を豊かにすること。楽器を演奏しながら表情を変えるのは難しいかもしれませんが、ちょっとした表情の変化でお互いの気持ちを感じ合うことができます。

お互いの音を聴き合うこと。当然ですが、これがアンサンブルの基本です。

このようなコミュニケーションを取りながら、1つの音楽を共に作り上げていくことがアンサンブル活動だと思います。ただ、アンサンブルを行うのは機械ではなく人間です。人間が集まれば、その人数分の感性や価値観そして人生があります。当然、対立することもあるでしょう。その時に、対立したままの状態にするのか、お互いが納得するまで話し合いを続けるのか、あるいは、自分の意見を無理やり通そうとするのか、対立をおそれ自分の主張はまったくせずに妥協のみで終えてしまうのか。この対処の仕方で、本当の意味での良いアンサンブルになるのかが決まると思っています。

良好な人間関係を保つということは、簡単なことではありません。逆に大変困難で苦労することです。アンサンブル活動においても、集団生活・社会生活においても、お互いの違いを認め合い、歩み寄り、「調和(ensemble)」させることが、大変重要なことだと考えます。

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