♪校長室カンタービレ♪ 第50号
平成31年3月20日
間もなく、平成30年度が終わります。今年度も様々な経験をさせていただきました。楽しいことや辛いことも含め、生きているという実感を味わわせていただいた日々でした。私は、邇摩高校に自分が存在した足跡を何かしら残したいと頑張ってきましたが、今は管理職としての力不足を痛感しています。それでも、生徒や仲間そして地域の皆様に助けられながら、何とかここまで勤めることができました。すべての皆様に対する感謝の気持ちで一杯です。
さて、私が管理職試験を受けた際の面接で、「音楽教師をやっていた経験を管理職としてどのように生かしますか」という質問を受けました。大変緊張していたため、その時どう答えたかはっきり覚えていませんが、「校長室カンタービレ」最終号として、今ならどう答えるのか改めて考えてみました。
音楽教師と管理職の仕事は、まったく異なります。正直言って、管理職として音楽をやっていて良かったと思うことはあまりありません。これはどの教科でも同じだと思います。それだけ職務内容が違うのです。ただ一つ言えることは、常に心と心のつながりを大切にしなければならないと伝え続けることができたのは、音楽をやっていたからかもしれないということです。
音楽から学んだ「心の大切さ」については、「校長室カンタービレ」でもたびたび取り上げてきました。音楽でも言葉でも、自分の心を伝えるというのは大変難しいことです。でも、その難しいことに挑戦し、それが叶った時の喜びは大きいものがあります。さらに、その心に共感してくれる相手がいたら、こんなに嬉しいことはありません。機械では不可能な心と心の触れ合い、心と心のつながり、心と心の共鳴。高校生の現状と今後の予測不能な社会を鑑みると、月並みな言い方ではありますが、「心の教育」が最も大切なものになると私は考えています。
では、今なら面接でどう答えるかを書きます。「組織を形成するのは一人一人の人間です。そしてそれぞれに心が存在します。その心と心がつながらなければ組織は機能しないと考えます。私は、音楽教師の期間も含め、音楽を通して学んできた心のつながりを大切にし、心が通い合う温かい学校経営を行いたいと考えています。」
このような答えしか思いつきません。非常に抽象的で、期待された答えではないかもしれません。しかしこれが、音楽を通して形成された私の人生観・教育観なのです。
最後に、私が常日頃心がけていることを、相田みつを氏の言葉をお借りして紹介し、「校長室カンタービレ」を閉じます。
あなたがそこにいるだけで、その場の空気が明るくなる。
あなたがそこにただいるだけで、みんなの心がやすらぐ。
そんなあなたに私もなりたい。