♪校長室カンタービレ♪ 第10号
平成29年7月18日
間もなく生徒は夏休みに入ります。4月からどれだけ成長してくれたのでしょうか。そして私も含めた教職員は、その成長をどれだけ支援できたのでしょうか。夏季休業中にしっかりと振り返りをし、次のステップにいかしていかなければと考えています。
さて、今回は前号に関連して、アンサンブルについての話です。
アンサンブル(ensemble)とは、フランス語で「統一・調和」を意味します。服飾関係では、組み合わせて着ることを意図してデザインされた服のことを指します。音楽の世界では、2人以上の人数で演奏する合奏・合唱あるいはそれを演奏する団体の意味で使われます。
高校の音楽系部活動である吹奏楽や合唱は、学校によって人数の差はありますが、すべてアンサンブルにあたります。
吹奏楽指導者である佐藤正人氏は、良いアンサンブルとは「個々の奏者が優れた演奏技術と合奏能力を持ち、十分なアナリーゼ(楽曲分析)に基づいた自分の表現を、楽器を通してお互い自由に発言し合うこと」であり、良いアンサンブル演奏とは「お互いを見合い、お互いが聴き合い、十分にリハーサルを積むことで生まれる」と述べています。
私は吹奏楽部顧問を30年近くやってきました。例年、夏のコンクールが終わると3年生は引退し、1・2年生で冬に開催されるアンサンブルコンテストに向けた練習に入ります。顧問によって異なるとは思いますが、私の場合は、各部員の力量を考えながらできるだけ適切な編成を組む作業と演奏曲を決めるところまでやっていました。そして、合わせ練習はほとんど生徒の自主性に任せ、ある程度仕上がったところでレッスンを行うというかたちを取っていました。私の指導力不足もあり、佐藤氏が語る「良いアンサンブル」あるいは「良いアンサンブル演奏」とはほど遠いものでしたが、自分たちで良いアンサンブルをしようと努力してくれた部員たちの姿を、今懐かしく思い出します。
アンサンブル練習で大切にすべきことは何点かあります。例えば、一人一人が自分の譜面に責任を持って演奏すること。自分の譜面だけでなく他の奏者の譜面を把握しておくこと。他の人の音を聴くこと。音の出だし・かたち・処理を合わせること。音程を合わせること。フレーズ感を合わせること。ハーモニーを大切にすること。バランスを大切にすることなど。気を付けるべきことはたくさんありますが、教育活動におけるアンサンブルで最も大切にしたいことは、仲間同士のコミュニケーションだと私は思っています。
次号では、アンサンブルにおいて「合わせる」ということ、特に人間関係の大切さについて考えてみたいと思います。